ただ、朝の仕事が終わった後も深夜まで居残って内裏を警護したり、事務仕事をこなす宿直も貴族の職務の一つ。蔵人や四位、五位の中・下級貴族たちは、この宿直の仕事が多く、なかには月に20日以上宿直をこなす貴族もいて、「宿直役は大変だ」と書かれた愚痴のような日記も残っている。

 夕方に食事をとると、宿直役は再び内裏に出仕するが、何もなければ自由時間。とはいえ、仕事関係の宴会や歌会に呼ばれることもあり、家でゆっくり、というわけにはいかなかったようだ。

 当時は男性が女性の家に向かう通い婚だったため、夜は、妻やアプローチしている最中の女性のもとに通う大切な時間でもあった。『源氏物語』で光源氏が女性たちのもとに足繁く通うのもこの時間である。

 平安時代の人々は、夜は早く休むため、一日の活動時間は今より短く、貴族たちも忙しかった、休日は6日に1日だったという。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希/イラスト 夏江まみ/図版 ウエイド)

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