天皇皇后、両陛下のお手振りを見守る愛子さま(撮影/上田耕司)

 到着したところにあったのは、マスコミ報道でよく見る宮殿・長和殿のベランダ。運良く、最前列のド真ん中の位置になった。すぐ目の前にベランダがある。

 10時を少し過ぎたころ、アナウンスが入った。

「参賀のみなさまにご案内します。天皇皇后両陛下、秋篠宮皇嗣同妃両殿下、愛子内親王殿下、および佳子内親王殿下は10時20分頃、宮殿中央にお出ましの予定です。なお、大声を発することはお控え願います」

 会場の興奮は最高潮に達する。

いよいよ天皇、皇后両陛下がお出まし

 そしてついに時は来た。ベランダに現れた天皇陛下、皇后陛下、愛子さま、秋篠宮ご夫妻、佳子さまの6人。

 愛子さまは白い服装で白い帽子をかぶり、イアリングもネックレスも白。青い服装に青い帽子と、ブルーでまとめてきた佳子さまとは対照的だった。

タイミングを待ってお手振りをする愛子さま(撮影/上田耕司)

 陛下や雅子さまは先にお手振りを始めたが、愛子さまはその様子をじっと見つめている。お手振りには、まず天皇が始めてから他の皇族が続くという順序があるが、愛子さまはタイミングを上手にうかがいながら、アンカーとしてお手振りを始めた。初々しさと同時に、会場との一体感を感じた瞬間だった。

 天皇陛下はお言葉をこう述べられた。

「冷たい雨や厳しい寒さの中、誕生日にこのように来ていただき、みなさんから祝ってもらえることをありがたく思います。先月、発生した能登半島地震によって亡くなられた方々に改めて哀悼の意を評するとともに、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いをお伝えします。この冬も、大雪や厳しい寒さで苦労された方も多いことと思います。みなさん一人一人にとって穏やかな春となるよう祈っております。みなさんの健康と幸せを祈ります」

思う気持ちと思われる気持ち

  お言葉が終わると、周囲からは「天皇陛下バンザーイ」という声が何度も沸き起こった。

 冒頭の秋田から来た男性は、こう話した。

「うれしかったですね。陛下のお言葉の時には、涙がこぼれそうになりました。陛下のお言葉は短い中にもその時の情勢とか国民を思う気持ちが込められている。思う気持ちと思われる気持ちというのが、短い瞬間でしたけれど感じ取れました。テレビで見るよりも、ここに来て、より近くでお言葉を聞いたほうが、ナマの玉音が伝わってきた」

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