岩手県北上市のショッピングモールに侵入したクマ。男性が指をさす方向にクマがいる=北上市の江釣子ショッピングセンターパル提供

 一方、秋田市では2月6日、運送会社の倉庫に体長1メートルほどのクマが入り込み、3日後に捕獲、駆除された。市には34件(2月13日午後5時現在)の意見が寄せられ、「殺さないでほしい」が30件、「駆除してほしい」が2件だった。

 同市によると、「命を大事にしてほしい」という趣旨の内容が多かったが、「何を考えているのか」と怒りの感情をぶつけてくる電話もあったという。
 

 さらに同月9日午前7時ごろ、福島県会津若松市でバスに乗った小学生が川の土手にいる体長50センチほどのクマを3頭目撃した。

 市は付近を調査するとともに、クマの危険を知らせる情報メールを市民に向けて発信した。

「通常は『親子グマ』というかたちで出没するのですが、付近に親グマはいなくて、3頭すべて小さかった、という話です」(会津若松市)
 

冬眠できない「孤児グマ」

 東北から北陸にかけて、クマの冬場の目撃情報は例年の数倍から10倍ほどに増えている。例えば山形県では12月に16件、1月の宮城県では15件あったが、例年は1件前後だという。

 本来ならクマは冬眠をしているはずだが、なぜ出没が相次いでいるのか。

長年、クマを研究してきた東京農業大学の山崎晃司教授=米倉昭仁撮影

 長年、クマの生態を研究してきた東京農業大学の山崎晃司教授によると、暖冬の影響で冬眠に入る時期が遅れることがあっても、冬眠しないことはまずないという。

 しかし、山崎さんは、

「ただし、『孤児グマ』は別です」

 と指摘。何らかの原因で親を失った子グマは、単独では冬眠に入ることができず、食べ物を求めてさまようことになるという。そして今冬の各地の報道を見ると、出没しているクマには0~3歳の子グマが多い印象だ。

 子グマが親を失った背景について、山崎さんは、

「昨年行われた大量捕殺の影響が、一番大きいのではないか」

 と推察する。

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今年も大量出没はあるのか?