「原子Aと原子Bがぶつかって変化するパズル感が好きだった。でも、大学に入ったら『原子はなぜぶつかるのか。それは、この段階でスピンして、次に……』という具合に、物理の概念が入ってきて、わわわわわ……と。自分が抱いていた化学のイメージと全く異なり、ショックを受けました。授業や参考書によって知識の限界点が固定されてしまっていたことに初めて気づきました」(遠藤さん)

 受験生だった当時にChatGPTがあれば、

「僕は無限に質問を繰り返したと思います(笑)。興味のある領域を掘り下げていくと、授業や参考書の枠を超えることができたでしょう」

 と話す。

 ChatGPTは、多角的で広い視野に立った学びに使える。東大医学部5年でTBS系クイズ番組「東大王」に出演している河野ゆかりさん(23)も、同じ意見だ。旧センター試験で865点を獲得し、現役で東大理・に合格しているが、歴史の分野で全体像の把握に苦戦したという。

「いつも自分の中で仮説を立ててから、参考書やネットで答え合わせをするようにしていましたが、目の前の疑問の正解しかわからない。長い歴史全体の中での意味合いや重要度の理解が難しかった。ChatGPTがあれば、時系列を軸にした全体の骨格の把握が効率化できた気がします」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年7月10日号より抜粋

著者プロフィールを見る
古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

古田真梨子の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【今年も7月開催と米国で発表】Amazonプライムデーは年に一度の大型セールイベント!2024年の開催日程や事前準備方法、お得な買い方をまとめて紹介!