森永さんがここまでにかけた治療費は300万円超。
「病院にいながらラジオに電話出演したいという希望もあって病室を個室にしたり、保険適用外の免疫療法もしたり、余分にかかっているので参考にはしづらいと思います。ただ、抗がん剤が合わないとかいろんなケースが考えられます。そうしたときにお金があればいろいろな選択肢を取れるということは実感しました」
自由にしてもらおう
森永さんは今、週に1度ほどのペースで通院しながら、オプジーボの投与を行っている。自分のことは一人でこなし、普通に日常生活を送っているというが、不安もある。
「最近は夜寝ている間の着信が怖くなりました。夜中に容体が急変して死んでしまったかもしれない、SOSの連絡をしていたのに反応できなかったのかもしれないと、朝スマホを開くまでにいろいろ想像してしまう。これはがん患者を持つ家族皆さんが抱えるつらさだと思います」
ただ、父の人生は父が決めたいだろう。家族の間では共通認識が芽生えている。
「闘病を頑張れているのも仕事の張り合いがあるからこそだと思うんです。その張り合いを取り上げたらむしろ死んでしまう気もしていて、だったら自由に好きにしてもらおうと。結果的にそれが死期を早めることになったとしても、本人がいいならいいだろうというのが今の僕ら家族のスタンスです」
(編集部・秦正理)
※AERA 2024年2月19日号より抜粋