鹿を使い、我々から歓声を自由に引き出す『鹿使い』。鹿も人間も彼の掌の上……なんか、頭に来てマスク外して鹿を眺めると、感情のない目、まぁ鹿だからね。「お前らホントに美味いと思ってんのか?」と問えば「あれ(ホルン)聞くと自然とここに来ちゃうんだよね……」という目(想像)。「それでは記念写真を撮りましょうー」と鹿使い。点のような目で写真に収まる人間と鹿。俺たちもお前らと一緒だよ、鹿。
鹿の振り見て我が振り直るかわからないけど、己と世間を客観視して無理なく上手くやっていきましょう。追記 どんぐりはホントに好きらしいです。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2023年4月7日号