TAIGAを慕う芸人は多い

――お父さんも特別な存在だと聞きました。

 小1のときにイジメられた時期があって。小6の男子2人にターゲットにされました。オレのランドセルを蹴飛ばして、前のめりに倒れているのを見てケタケタ笑っていた。1年生だから6年生は怖くて何も言えないじゃないですか。春にピカピカだったランドセルが秋にはボロボロになって。誰にも言えなかったんですが、親父が気づいて2人を呼び出して注意したら、「ごめん」と謝ってきてイジメが終わった。オレを守ってくれた正義のヒーローです。

――カッコいいですね。

 ただすごく厳しかった。オレは勉強ができないのでよく怒られました。親戚がみんな頭良かったので、自分の子どもだけ勉強ができないのが恥ずかしかったんでしょう。本人は覚えていないと思うけど酔っ払ったとき、「親戚中の恥だ」って言って。傷つきましたよ。でも芸人を続けていることには理解がありました。親父は実家の材木屋を継いでいたので、「おまえは好きなことをやれ」と。子どもに後悔させたくないという気持ちがあったのかもしれません。

父親は正義のヒーローだった

病院のカレンダーに

――お父さんは09年に逝去されました。

 「親戚中の恥だ」と言った親父を見返したいという思いが、芸人を続ける大きなモチベーションの一つでした。親父が「うちの息子がテレビに出るから見てやってくれ」って病院のカレンダーに印をつけていたと亡くなった後に聞いたときは、ラジオ番組の本番前だったのに号泣しました。芸人としていいところを見せられなかったし、親孝行が何もできなかった。目標を失って胸にぽっかり穴が開いた感じになりましたね。

父親は「おまえは好きなことをやれ」と言ってくれた
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こんな汚い金はいらないなって