勉強ができないので父親によく怒られたという

――生き方に変化はありましたか。

 その後に芸人を辞めるか本気で考えた時期があって。続けると決めてから、お金持ちの人たちが集まる飲み会の前でネタをやる「ギャラ飲み」をやめました。「つまらねえよ」「一生売れねぇな」と罵声を浴び続けるんですが、愛想笑いを浮かべてその場をやりすごせば、2~3万円のタクシー代がもらえる。ネタから人格まで全部否定されて、こんな汚い金はいらないなって。笑いに真剣に向き合って、少ないかもしれないけどアルバイトで働いたお金で飯を食ったほうが幸せだと考え直しました。

座右の銘は「人生楽しんだもの勝ち」

――芸人として大事にしているポリシーはありますか

 ウケる、スベる関係なく、スベってもオレしかできないことをやろうとは思っています。自分に何を求められるかと言ったらその部分だと。ピン芸人は全員リスペクトしています。ハリウッドザコシショウさん、永野さんとか「芸人の間では面白いけど売れるのはどうかな」って言われていた人がちゃんと売れている。自分の生き方を貫いている人はカッコいい。古坂(大魔王)さんもすごい。若手のときから頭が良くて面白い人ですけど、ピコ太郎で世界を席巻して。あんな売れ方は想像できなかった。「PPAP」が大ブームになる前にライブで一緒になったとき、ネタを見たんですよ。これはすごいなって。ああいう発想ができない自分が悔しかった。

映画化されたら最高

――今後の展望や夢を教えてください。

 オードリーの番組に出演すると、お互いに売れていなかったころを思い出しますけど、今はゲストで呼んでもらっている身です。一緒に冠番組をやりたいですし、ラジオが好きなので自分の番組を持って後輩たちをゲストに呼びたい。あと、自伝『お前、誰だよ! -TAIGA晩成 史上初!売れてない芸人自伝-』(ワニブックス)がドラマ化、映画化されたら最高です。主演を一流の俳優さんにやってもらって、オレは「面白くないよ、やめちまえ!」っておしぼりを投げる「ギャラ飲み」のタニマチ役で出たい(笑)。座右の銘が「人生楽しんだもの勝ち」なんです。貧乏人も金持ちも与えられる時間は一緒。つらいことはたくさんあるけど、人生を楽しむ気持ちはこれからも大切にしたいです。

(平尾類)