関西の大学はどうだろうか。
立命館大には芥川賞の笙野頼子、直木賞の千早茜などがいる。千早は22年下半期に受賞している。彼女の指導教員である同校文学部、上田高弘教授は、祝いのことばをこう述べている。「あなたの卒業論文がすでに、ある外国小説が描きだす人間の〈生/性〉のありように透徹した眼を向け、それ自体が一編の物語を胚胎していたことにも思い至りました。その再認の日、驚きは確信そしてさらなる予感へと変わり、だから今回の受賞にも、ぼくは少しも驚かないのです」(大学ウェブサイト)
京都大は芥川賞の平野啓一郎、同志社大には直木賞の門井慶喜、芥川賞の藤野可織がいる。
大阪府立大(現大阪公立大)の出身者には芥川賞の米谷ふみ子と柴崎友香、直木賞の東野圭吾がいる。関西大からは直木賞の西加奈子、今村翔吾が出ている。
九州、沖縄はどうだろうか。
九州大では直木賞の原尞、西南学院大では直木賞の東山彰良と葉室麟が生まれている。そして、琉球大出身の芥川賞作家、目取真俊は政府の米軍基地政策について厳しく批判している。
林真理子が日本大理事長に就任
著名な作家が出身校の危機を救うために動いた。
日本大は昨今、理事長の脱税、アメフト部員の大麻所持などの不祥事で大きなダメージを受けている。日本大は大学を立て直し、イメージを高めるために、芸術学部出身の大物OGを理事長に起用した。直木賞作家の林真理子である(86年受賞)。文学者としてのしなやかな感性を日本大の発展にどう生かしていくか。その手腕を期待したい。
(敬称略)
(文・小林哲夫)
※アエラムック「就職力で選ぶ大学2024」(朝日新聞出版)より