市はX以外にもホームページとLINEで情報を発信しているが、それがXの代替手段となるかはわからないという。
さらに埼玉県草加市と静岡県伊東市も、同時期に公式Xアカウントが凍結されたが、いずれも凍結の原因について「身に覚えがなく」、解除の際にも「明確な理由は示されなかった」という。
国もX社の対応を問題視
ヤフー、Google、LINE、Meta、Xの各SNS事業者は利用規約を定め、これに違反した場合にアカウントの凍結を実施している。
しかし、2018年に総務省が立ち上げた有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」によると、アカウントの凍結基準が明確でない事業者も存在するという。特に海外の事業者は、利用規約がグローバルに適用されることを前提に作成されているため、日本の法令や利用状況に則していない。
そこで同研究会は、SNSの事業者に対して調査を実施。今年1月31日に公表された「第三次とりまとめ(案)」は、X社の姿勢を次のように厳しく指摘している
「X社を除くすべての事業者からヒアリングシートおよび説明資料の提出があり、透明性・アカウンタビリティー確保の取り組みについて、一部で進展がみられた。しかし、X社については、後退があった」
さらに、とりまとめ案ではSNSの事業者に対して、アカウントの凍結の判断基準や手続きをできる限り具体的に示すことを求めた。
今回、取材したすべての自治体は、ホームページやLINE、Facebook、エリアメールなど、X以外にも情報発信の手段を持っている。しかし、情報を得る手段として、Xの有用性は多くの関係者が認めるところだろう。
最近、徳島県はX公式アカウントについて「グレーのチェックマーク」を取得した。これは行政機関であることが認証された印である。
県は去年の夏からX社に申請していたものの、ずっとなしのつぶてだった。しかし、最近あらためて申請すると、3~4日で取得できたのだという。
「これによって今後、アカウントの凍結を免れるかはわかりませんが」
県秘書課の担当者は、そう言って笑った。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)