災害時などに、自治体から地域住民らに正確な情報を届ける手段として使われているX(旧ツイッター)などのSNS。しかし突然、自治体のアカウントが「凍結」されるケースが相次いでいる。不必要な情報を大量に発信する「スパム行為」と疑われた可能性があるが、はっきりした理由は示されていない。「いざ」というときに使えなくなるかもしれないインフラに、市民にとって重要な情報の発信が委ねられている状況だ。
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徳島県の職員が、公式Xアカウントが凍結されていることに気づいたのは1月12日午後10時ごろだった。その約2時間後、X社から次のようなメールが送られてきた。
「X社は利用規約に違反したアカウントを予告なく永久凍結する権利を留保します。このアカウントは凍結されています」
一方、凍結の理由については一切書かれていなかった。
Xの利用規約に沿った適切な投稿をしていたと認識する県は、X社のサイトから凍結解除に向けて異議申し立てをした。これとは別に、Xの日本法人からメールで連絡があり、県は経緯を説明した。すると14日夜に突然、凍結は解除された。
県秘書課の担当者によると、ある投稿がユーザーから批判されたことが凍結の原因ではないかという憶測もあるものの、「県としてはそのように認識しておらず、凍結の原因は今も不明です」。
ところが、騒ぎはこれで収まらなかった。18日夜、1時間半ほどにわたって、アカウントが再び凍結されたのだ。
前回と同様に異議申し立てをすると同時に、Xの日本法人にメールで連絡をとり、そのやり取りをしている最中に凍結が解除された。
「県が今後もXで情報発信をしていく上で、なぜ2回にわたってアカウントが凍結され、解除にいたったのか。ぜひその理由を把握したいのですが、X社からは説明がない状態です」(同)
後藤田正純知事は19日の定例記者会見で、こう語った。
「同様なケースが岩手県や大分県でも起きている。総務省、デジタル庁とも相談する。国として対応していただきたい。X社は透明性を持って説明責任を果たしてほしい」