あまりの寒さに、末端神経がおかしくなって、「このまま手足が壊死(えし)してしまうんじゃないか」ってめっちゃくちゃ怖かった。壊死しないように、必死に手先と足先を、強引にギュッギュって動かして、なんとかあたためていたからね。

 あと、動物に対しての恐怖もハンパなかった。こんな山の中で、ボクはまったく身体が動かせないわけだから、動物に襲われても抵抗できないしね。「イノシシやハゲタカがきたらどうしよう」ってずっと不安だったのを覚えている。

 たった一人で、長時間土の中に埋められて、寒さや動物の恐怖に耐えながら、企画を説明してくれるMCがいるわけでもなく放置プレイ。これは、ほんとしんどいよ。

 藤井さんの手掛けた番組では、ほかにも、アイマスクをしたままパラグライダーをさせられたり、無人島に連れて行かれたり、10日連続早朝に寝起きで水泳、相撲、PKなどの10種競技をやらされたり、携帯も財布も持たない状態で東北に連れて行かれて「ハトより先に埼玉の鳩舎(きゅうしゃ)に戻ってこられるか」を検証させられたりと、いろいろと大変な仕事はあったけど、「大脱出」が断トツでつらかった。

 というか、企画を振り返ると、藤井さんは、ほんと頭がおかしい人だね(笑)。

 ちなみに、藤井さんの番組にはたくさん出させてもらっているけど、実はボクは藤井さんとは、ほとんどしゃべったことがない。ごくたまにテレビ局で偶然顔を見かけることもあるから「あいさつしにいこうかな」と近寄ったりしてみるけど、いつのまにかスーッといなくなっている(笑)。

 だから、メディアのインタビューなどで「藤井さんってどんな人なんですか?」とよく聞かれるんだけど、まったくボクには分からない。「水曜日のダウンタウン」によく出ている芸人の中で、おそらくボクがいちばん分かっていないんじゃないかな。それぐらい、誰よりもしゃべっていない気がする。だから、ボクにとって藤井さんは、ほんとミステリアスな存在なんだ。

 本音をいうと、これだけお世話になっている人なんだから、ボクとしてはいろいろと話してみたいことはたくさんある。連絡先も知りたいし、ご飯だって行ってみたい。リチと付き合えたのだって一応「水曜日のダウンタウン」のおかげなんだし。

 まあでも、藤井さんはとてもプロフェッショナルな人だろうから、この絶妙な関係性が仕事しやすい距離感なのかもしれないけどね。いつかは、LINE交換ぐらいできたらいいなー。

 そんな藤井さんが手掛けた「大脱出2」。肉体的、精神的にダブルでハードだったけど、今回も無事に終わって、ほんとよかった(笑)。

 しつこいようだけど、もう一度、伝えとくよ。

 藤井さん!マネージャー! ボクは「埋められる」のは絶対NGだからね!土の中だろうが、海岸だろうか、どんな場所でも駄目だからー!!

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)
 

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