
亜鉛は体内で生成することができません。そのため、食事などから体内に取り込む必要があります。そんな重要な栄養素の一つである亜鉛が欠乏することにより発症する疾患が、亜鉛欠乏症です。
亜鉛は上記のように、様々な役割を担っていることから、体内で欠乏することにより、肌荒れ、脱毛、免疫力の低下、男性の性腺機能低下、成長遅延、食欲不振など様々な症状をきたすことが、報告されているのです。
さらに、舌にある味覚を感じる細胞(味蕾)を作る上でも、亜鉛が不可欠です。そのため、体内の亜鉛が欠乏すると、味がおかしく感じたり、苦みを感じたりする「味覚異常」を引き起こします。
現代の日本で栄養不足!?
「高所得国に属する日本では、栄養不足が起きるのは考えにくい」そうお思いの方もいらっしゃるかもしれません。私も、自分が栄養不足に陥るとは思ってもいませんでした。
実は、世界人口の約17%が、亜鉛の摂取不足に陥っていると推定されています。特に、低所得国と中所得国の国では、亜鉛欠乏症の有病率が20%以上を記録している国も多数報告されており、大きな健康問題の一つになっています。
一方、高所得国の一部でも、亜鉛欠乏症の有病率が10%に達する可能性が指摘されています。高所得国の場合、亜鉛欠乏につながる原因として、菜食を中心とした食生活や肉の摂取量の不足、ダイエットや偏食などが挙げられているのです。
「亜鉛欠乏症を再発してしまったのではないか」そう疑うようになったのは、この冬のある日の朝でした。まさに数年前に経験した症状を、再び自覚するようになったからです。
朝、口の中がとても苦くて、目が覚めます。そして、その苦味は日中もずっと続きます。苦味を自覚するようになった数日後には、粉をふいたかのように腕の皮膚がめくれ始めたのです。そこで、私は亜鉛欠乏症を「再発」したに違いないと思ったのでした。
実は、数年前に「亜鉛欠乏症」とわかったとき、薬を内服することによる亜鉛の補充を開始しました。しかしながら、幸いにもすぐに症状が改善した私は、飲み忘れる日が続いたこともあり、1カ月ほどで内服を中断してしまっていたのです。「医者の不養生」と言われても仕方がないと思います。
では、再発してしまった理由はなんだったのか。アメリカに拠点を移してからの自分の食生活を振り返って、気がついたことがあります。