「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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読者の皆さんは、インドネシアという国にどんなイメージをお持ちでしょうか。
実は私たちローソンにとって、インドネシアはとても大事な国なんです。店舗数でも現在約700店と、この1年で3倍以上に拡大しています。昨年11月、そのインドネシアを、約4年ぶりに訪問しました。
日本の約2倍、2億7千万の人口を抱える大国。人口構成も若い方が多く、すさまじいエネルギーを感じます。空港に降りた瞬間にウワッと押し寄せる、アジア特有の息吹に触れただけで、自分も元気になってくる。
4年前は原っぱにビルが二つだけ、というような場所に、大学を含む先進的な街ができあがっている。その発展のスピード感にも驚かされます。人々の成長欲求のようなものをひしひしと感じ、「この国の成長と共に、ローソンも成長していきたい」という思いを改めて強く持ちました。
もう一つ、改めて痛感したのは、店舗を展開するには「インドネシアのローソンになる」ということです。
もちろん、ロジスティクス(物流管理)などシステム上のことはそのまま持ち込んでもいい。
ただし商品やサービスに関しては、インドネシアの方々に「私たちのマチのローソン」と言っていただくには「インドネシアのローソン」になりきらないといけない。
たとえば食べ物。とにかく、どれもが辛い。インドネシアのローソンの人気商品の中で、私が一食、食べきることのできるものはほとんどないんです(笑)。
唐揚げも、私が食べられないほどに辛いソースがかかったものが一番人気。皆さんがよくご存じの「ナシゴレン」も、そして「おでん」も、驚くほど辛いんですね。
「郷に入っては郷に従え」。その大切さをあらためて痛感したインドネシア滞在でした。
◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2024年2月12日号