「同伴避難」はできるか

 ともに避難できたとして、次に問題になるのが避難所での生活だ。ペットとともに避難生活を送れるかどうかで、事態は大きく変わってくる。

 同行避難が可能な避難所を事前に確認する際、あわせてその避難所でともに避難生活を送れるかどうかも調べておくといい。被災後1、2日は一緒にいられたとしても、避難が長期化するケースでは、「同伴避難」が難しくなることは少なくない。

 まず、もし避難所でともに生活できるのであれば、ペットの飼い主同士で「飼い主の会」を設立するよう動いてほしい。環境省もガイドラインでそう推奨している。互いに協力し、場合によっては自分たちでルールを作りながら、適切な飼育管理をしていくためだ。環境省によれば、避難所での苦情やトラブルを減らす効果があるという。

 同じ避難所にいられたとしても、ペットは別部屋のケージやサークルに入れられたり、犬種によっては屋外につながれたりするケースもある。こうした事態に備え、前述の通り日頃からケージなどに慣れさせ、無駄吠えやかみ癖をなおしておき、さらには別の犬やと穏やかに過ごせるよう社会化しておくことが大切になる。

 一方で、避難所での同伴避難が困難なケースも、残念ながら少なくない。自治体によってその濃淡はあるが、覚悟はしておくべきだろう。

 もし車で避難しているのであれば、まずはペットを車内に残し、飼い主は避難所に入るという選択肢が現実的になる。ただ夏場であれば熱中症の危険があり、すすめられない。冬場、寒さに弱い動物を車中に置くのもリスクが高い。また、ペットだけを車中に残すことに不安を感じるのも、飼い主として当然の感情だろう。

 こうしたなか、自宅に戻るという選択をする人も一定数いる。だがこれも、余震が続いていたり、ライフラインが復旧していなかったりする場合、リスクが高い。安全を確認のうえ、冷静な行動が求められる。

 最も有効なのは、日頃から遠隔地の家族や親戚、友人らと相談しておき、万が一の場合にペットを預かってくれる先を確保しておくことだ。それも離れた複数の地域に。日本に住む限り、大規模災害はどこで起きてもおかしくはない。お互いにとってメリットになる。

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