激似の岸田総理より“支持率”は高い!?
一方、昨年放送されたドラマ「半沢直樹」(TBS)では、主人公・半沢直樹(堺雅人)の味方を装いつつ、実は過去に政治家と組んで不正融資をした裏の顔を持つ悪のエリートバンカー・紀本常務役がアタリ役に。意外にも出演できたのは新型コロナウイルスの影響で、舞台の仕事が中止になったからだったという。コロナ禍で3カ月ほど仕事がなくなったそうで、「半沢」へのオファーに戸惑いもあったと言うが、「あの『半沢直樹』の空気で撮影が始まるので、演技の感覚もすぐに戻りました」とインタビューで明かしていた(「文春オンライン」2020年10月5日配信)。
「段田さんは90年代に数多くのテレビドラマで活躍したイメージですが、還暦をすぎた今もひっぱりだこ。京都出身者らしい優しい関西弁や、時代劇も現代劇もこなす幅広い演技力は業界内の評価も高い。今年だけで5本のドラマに出演し、来春には主演舞台『セールスマンの死』で鈴木保奈美らとの共演が予定されています。最近では、岸田首相の就任時に『段田安則に似すぎ』と話題になりましたが、SNSでは『段田さんのほうが支持率は高いでしょ』と皮肉めいたコメントもありました」
ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、そんな彼の魅力についてこのように分析する。
「段田さんはそもそも野田秀樹主宰の劇団『夢の遊眠社』出身なので、演技力の確かさは折り紙つき。俳優としての下地がしっかりできているので、今の活躍も当然といえば当然でしょう。ドラマでは野島伸司脚本、いしだ壱成主演の『聖者の行進』(1998年)で演じた、知的障害者を虐待する裏の顔を持つ製作所の社長役が印象に残っています。20年以上も前の作品ですが、強烈なインパクトのある演技ははっきり覚えていますね。舞台出身ということもあり、よく通る声も魅力的。彼の声が聞こえてくるだけで、視聴者に『これから何か重大な事件が起こるのではないか?』と思わせる説得力があります。たとえ出番が少なくても作品全体の雰囲気を引き締めてくれる貴重な存在でしょう」
日本屈指のバイプレーヤーへの「支持率」はますますアップするに違いない。(高梨歩)