フローレンス・ナイチンゲール記章の授与式での雅子さま
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 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが今春、日本赤十字社に嘱託職員として就職すると、宮内庁が明らかにした。これまで社会福祉や災害での支援活動などの仕事に関心を持たれていたという愛子さま。日赤と皇室との深い関わりを振り返る(この記事は「AERA dot.」に2022年8月18日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。

【愛子さま】聡明さが表れた会見での表情

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「ダイヤモンド・プリンセス号の場合はいかがだったのでしょうか」

 皇后雅子さまは、苫米地則子さん(58)にそう声をかけた。苫米地さんは、世界の注目を集めた2020年2月のクルーズ船「ダイアモンドプリンセス号」で新型コロナが拡大した際に、船内で活動した救護班の総括を務めた看護師だ。

 8月10日、優れた功績のあった世界各国の看護師らに贈られるフローレンス・ナイチンゲール記章の授与式が都内のホテルで行われた。コロナ禍で延期になっていたため3年ぶりの開催だった。

 日本人では、苫米地さんとパキスタンなどで保健活動を行ってきた藤田千代子さん(63)が選ばれた。

 雅子さまは、イスラム文化圏での看護活動や女性スタッフの育成に尽力したペシャワール会の藤田さんの活動に熱心に質問を重ねた。

 アフガニスタンで活動中に銃撃で命を落とした医師・中村哲さんの活動を支えてきた藤田さんは、その意思を継いで活動を続けている。過酷な現場活動に、身体を気遣ったのだろう。

 皇后雅子さまは、藤田さんにこう声をかけた。

「健康に気を付けて頑張ってください」

 授与式には、日本赤十字社(日赤)の名誉総裁を務める雅子さまと、副総裁を務める秋篠宮家紀子さまと寛仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さまも出席した。

 授与式のあとに行なわれた懇談の場で苫米地さんは、「妃殿下の方々もやはりダイヤモンド・プリンセス号に興味を示してくださいまして、質問をいただきました」

 と話し、コロナ対応の現場に対する皇室の関心の高さをうかがわせた。
 

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