柄本佑さんとの再会
久しぶりの共演となる柄本さんの印象をこう話す。
「独特の空気感をまとっている方ですね。作品を作っているときに、たとえば、『この二人って会うの何回目なんだっけ』とか、何げない言葉で役に奥行きを持たせてくれるんです。いつもものすごく考えている人ですね。だから、彼が発する言葉一つ一つを聞き逃さないようにしていました」
「火口のふたり」は過激な濡れ場があることも話題となったが、抵抗はなかったのだろうか。瀧内さんは「そういうことは考えなかったです」とあっけらかんと話す。
「この作品のように、二人芝居の映画ってそうそうないと思うんです。男女っていうものが色濃く描かれていたので、単純に面白そうだなと思ってやらせてもらいました。その都度いろいろなことを相談して、どこまで表現するかとか話し合いながら、みんなで作っていった作品だったので、不安みたいなのはなかったです」
話題作への出演が続き、順調にキャリアを重ねる瀧内さんだが、次の目標はどこにあるのか。
「海外作品です。昨年、イギリス人の監督の作品に参加させてもらったんですけど、今までにない刺激がありました」
強く感じたのは、映像の捉え方の違いだったという。「彼らは『映る画そのものが大事』という意識が強いと感じました」と話す。
「たとえば、日本の撮影現場だと役者は、自分の芝居がこうだから、カメラをこう回してほしいとオーダーを出すこともありますが、彼らは、映像手法のことを中心に考えていました。ここに照明が当たっているから、このときここを見てって指示をするんです。役者の気持ち的にはそうではなかったとしても、でもこっちのほうがきれいでしょ?って。極端に言えば、そこに立っているだけでいい画が撮れる技術を持っている。私が経験してきた日本の映像業界の考え方とは全然違うなと思いましたね」