明治(左)と江崎グリコの液体ミルク=千葉県船橋市の「アカチャンホンポ ららぽーとTOKYO-BAY店」、米倉昭仁撮影

 元日に発生した能登半島地震の後、調乳の必要がなく、赤ちゃんにすぐに飲ませられる乳幼児用液体ミルクへの関心が高まっている。乳業・製菓大手の明治と江崎グリコによると、昨年の同時期と比べて出荷量は2倍超に。被災地以外でも備蓄の需要が伸びていると見ている。国内での販売が始まって5年。自治体での備蓄も広がっている。

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 粉ミルクは、飲めるようにするのにお湯が必要だが、液体ミルクは常温で保存でき、水で薄める必要がない。哺乳瓶に注げば、すぐに赤ちゃんに飲ませることができ、液体ミルクの容器に吸い口を取り付ける防災用のキットも発売されている。

 国内では2016年の地震の際、フィンランドから液体ミルクが提供されたことをきっかけに、液体ミルクの必要性を求める声が一気に高まった。18年に製造・販売が解禁され、翌年3月に江崎グリコと明治がそれぞれ液体ミルクの発売を始めた。

「今回の能登半島地震では、ライフラインが寸断されました。水や電気、ガスがないと、粉ミルクを溶かすための清潔なお湯が手に入らない。そうすると、粉ミルクだけで育てられている赤ちゃんにとっては、本当に命に関わる問題になります」

 と、江崎グリコ乳業事業部の横山桃子さんは言う。
 

「防災備蓄」の意識がネックに

 液体ミルクの販売が始まって5年。液体ミルクを備蓄する自治体は、着実に増えている。
 

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海外に比べて使われていない理由は?