主演・山﨑賢人らしい杉元佐一とは?
映画主演の山﨑賢人は、「俺は不死身の杉元だッ!!」という決めゼリフを原作ファンのイメージ通りに再現していた。『ゴールデンカムイ』はアニメ版が先行しており、人気声優・小林親弘の印象が強いため、このイメージを壊さないこと、さらに山﨑らしさの表現を加えることに、苦労があったのではないか。
力強い線で描かれる野田サトルの杉元佐一を、誰が演じるのかは配役発表前からさまざまな予想が飛び交っていた。実際には20代後半とはいえ、少年らしさが残る顔立ちの、細身の山﨑が演じるにあたって、公開前は「山﨑賢人がどれだけ軍人らしい荒々しさを出せるかどうか」ということにばかりに注目が集まっていたが、山﨑ならではの「杉元らしさ」は、もっと他の要素にあらわれていた。
身軽に戦場の塹壕(ざんごう)を跳び、険しい雪原を駆け抜け、下品にも野蛮にもなることのない少年のような顔立ちの軍人――新しく、それでいて原作イメージを損なわない杉本佐一の姿がそこにあった。親しみやすい笑顔から一転して、流れるような動作で戦闘態勢に入るあの反応速度は、いつでも人を殺す意思がある杉元佐一の非情さ・冷静さをあらわしている。俊敏に戦う「山﨑らしい杉元」の表現だといえよう。