眞栄田はインタビューでも「自分も偉大な父がいて、同じ俳優の道を進んでいるので、その軸は勝頼と近いものがあるなと思いました」「勝頼も絶対に信玄と比較される部分があっただろうし、その使命を背負いつつも自分らしく生きようとする勝頼の心情には共感します」(「ステラnet」5月22日配信)と語っている。父の死を経て、役者としての道を固めつつある眞栄田にとって、大きな意味を持つ役柄のようだ。

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、彼の魅力についてこう分析する。

「父親譲りのワイルドで濃いめの顔立ちから、武骨で男くさいイメージがありますが、彼の一番の魅力は内面からにじみ出る優しさ、繊細さでしょう。二階堂ふみと共演したドラマ『プロミス・シンデレラ』では、アラサー女性との出会いによって変化していく性悪高校生、初主演作となった『カナカナ』では元ヤンだけど心根の優しい主人公を演じ、それぞれ印象に残る演技を見せてくれました。高校時代は吹奏楽部の部長を務め全国大会にも出場するなど、表現力やリーダーシップもあります。まだキャリアは浅く、比較的まっすぐで信念を持った役が多いと思いますが、今後はとことんコミカルなキャラクターや、救いようのないくらい憎たらしい悪役など、振り切った幅のある演技もぜひ見てみたい。俳優としてまだまだたくさんの可能性を秘めていることは間違いないでしょう」

 父の死に際し、最期をみとることができなかった眞栄田は「一方的な約束をしてきました。それを守るだけです」とコメントしている。その約束はいったいどんなものなのか。これからの快進撃を見守りたい。

(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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