ホフディランの小宮山雄飛さんがプロデュースした「究極 渋谷ブラックカレー」(手前)。福神漬と一緒に食べるのがおすすめだ(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 お正月のお節料理に飽きたころ、無性に食べたくなるのがカレー。パック技術の進化によりスパイスの利いた商品も登場。有名店とのコラボから高級具材を使ったものまで、自宅で楽しめるレトルトカレーを紹介。AERA 2024年1月29日号より。

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「おせちもいいけどカレーもね」

 西城秀樹やキャンディーズがさわやかに呼びかけ70年代半ばに大人気となったハウス食品のカレーCMのキャッチコピーだ。

 新年、お節料理・お正月料理という「非日常」に飽きかけたころ、このCMによって「日常」代表ごはん・カレーライスが、そのスパイスの香りとともに頭の中に思い出され、カレーが無性に恋しくなる。そして、お湯に入れて3分待つだけのレトルトカレーは特にその簡便さが正月後にぴったりだっただろう。

簡単便利だけじゃない

 世界初の市販用レトルト食品、大塚食品の「ボンカレー」が誕生したのが1968年。「3分間待つのだぞ」という笑福亭仁鶴の72年のCMで一気に食卓に広がったが、いまやレトルトカレーは、お湯で温めるだけ、レンジでチンするだけの簡単・便利というだけの存在ではない。味も飛躍的に進化、スーパーや食料品店の棚にはシンプルなものから有名店とのコラボ、高級具材を使ったもの、エスニック風のものや近年人気のスパイスカレー、さまざまな種類のレトルトカレーが並び、何もないときの保存食というよりも気分に合わせて選ぶ感覚の食品だ。

「これまで保存食、非常食的存在だったレトルトカレーが、今はもう日常食になっているという感覚です」

 と、これまで4千食以上のレトルトカレーを実食、自らカレーとスパイス料理の教室も運営するスパイス料理研究家、一条もんこさんは語る。一条さんによると、レトルトカレーの近年のトレンドは、5年ほど前にバターチキンの大流行があった後、スパイスカレーなどスパイスを利かせたエスニック系、そしてタイ、インドネシア、スリランカと、各国のカレーが続々レトルト化されている状況だという。

 この、“スパイスを利かせた”という部分が、実はレトルトカレーの歴史上、長年にわたるひとつの弱点でもあった。

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