A子さんへの個人攻撃を過熱させた「投稿」
だが、文春側もこれに応戦。1月9日に文春オンラインで、A子さんの「穏便に見逃してもらうため、お礼のメッセージを送った」「友人には“飲み会”の異常性を報告した」という反論を掲載した。同記事のなかで、NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI代表で、弁護士の望月晶子氏はこうコメントしている。
《被害者が平静を保とうと、普段と変わらない行動をすることは決して珍しいことではありません。むしろ弱者である被害者が、加害者におもねるような言動をとることはしばしばあります》
報じられているような“お礼メッセージ”を送ったとしても、「性被害はなかった」と断言する根拠にはならないという。
一方、松本や吉本興業は文春の報道を全面否定している。どの部分が「事実無根」なのかは、これから裁判で明らかにされていくだろうが、週刊女性PRIMEの記事やそれに賛意を示した松本の投稿が、A子さんへの個人攻撃を過熱させたのは事実だろう。
性被害を訴えるケースでは、同じような事象は後を絶たない。改めて望月氏に話を聞くと、「あくまで一般論」として、性被害者への誹謗(ひぼう)中傷の実情をこう語った。
「被害者への二次被害はネットの投稿に限りません。友人や家族、警察、法曹家や医師が“悪気なく”口にした言葉でも生じます。例えば『あまり被害を他人に言わないほうがいいよ』という助言や、『何で男性に付いていったの?』という質問が被害者を傷つけ、苦しめます。一方、今回のようにマスコミを通じた告発の場合、やはり『売名』と『カネ目当て』が典型的な誹謗中傷のパターンです」