ラーメン店は横のつながりが強いので、地震発生後、二人のもとには全国のラーメン店から連絡が届いている。「大変ありがたい」と口をそろえ、自分たちだけで回りきれない場合は全国のラーメン店の力も借りていく方向だという。
避難所では、電子レンジの取り合いになっているという。その場で作ったあたたかいものを食べたいというニーズは大きい。そんな場所にあたたかいラーメンを届けたいという二人の思いは痛いほど伝わる。
「状況が常に変わっているので、支援先の情報に従ってやっていくことが大事です。金沢のみんなが『何かしたい』『何かできることはないか』と考えています。金沢の飲食店は普段、能登の食材を使って料理を作らせてもらっています。地震を通して、我々金沢は能登にこんなにお世話になってきたんだと改めて気づいたんです」(河方さん)
炊き出し以外にも、ラーメンイベントや限定ラーメンの売り上げを義援金にするなど、お客さんも貢献できる形で長く続けていきたいと二人は話す。
「僕らの力では復旧させることはできないので、復興に向けていろんな飲食店の人たちと手を取り合って何ができるか考えていきます。間違った選択をせず、冷静に落ち着いて判断していくことが大事だと考えています」(寺田さん)
能登地方のラーメン店は個人店が主で、店主も高齢な人が多い。復興まで最低5年はかかるといわれている中で、どれだけの店が復活できるのか、不安は尽きない。それでも、石川県のラーメン店として、二人はやれることを精一杯模索している。(ラーメンライター・井手隊長)
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