――エホバは自由恋愛もできず、婚前交渉も禁止ですが、異性に興味は持たなかったのですか
田代 当時はなかったですね。欲望を持たない方が2世の生き方としてスムーズだと思っていましたので、そもそも性欲がどういうものかも知らずに育ちましたから。私、思春期にけっこうモテたんですが、うれしいと感じませんでした。母もおそらく性への興味や性欲がない人で、母に似たのかなと思っています。
山岡 私もエホバで生きていくことしか考えていなくて、禁止行為を避けていく生き方をしていたので、男性を性的な目で見ることがなかったです。そもそもエホバの子がゆえ、学校でも周囲となじめなかったですし、「ハルマゲドンが来る」と信じていたので20歳まで生きられると思っていませんでしたから。異性に興味が持てるようになったのは、22歳でエホバをやめて何年か経ってからですかね。
岡村 私は「反骨」だったので(笑)。中学2年で信者ではない彼氏を作りました。高校に入ってエホバをやめてからは、普通に彼氏を作って性的関係も持ちました。中学時代まで、当たり前に経験していいことを禁じられてきて、その「仕返し」をしてやろうって思いがあったんです。
――エホバでは児童へのムチ打ちが常態化していて、虐待だと問題視されています
岡村 私は中学に入ったころまでされていた記憶があります。中学生の女の子がパンツをおろして下半身裸になって、ひざまずいてムチでお尻を打たれる。痛さもありますが、それ以上にものすごく恥ずかしい。このときに味わった羞恥(しゅうち)心はちょっとやそっとじゃ埋められません。そんな行為が繰り返されるのですから、人間が「ゆがむ」のは当たり前ですよね。(山岡、田代もうなずく)
――「ゆがむ」とは?
岡村 私たち、性癖が「ドМ」なんです(他の2人も笑ってうなずく)。交際相手はみんな「モラ(ハラ)男」でした。
田代 2世の女性と話すと、実際に性癖がおかしいと感じている人が多いんですよ。私も異常だと自認しています。
山岡 私も、はっきりいって変態なんだとは思っています。でも、根っこからゆがんでしまっているので、どう変なのかがちゃんとわからない。