AERA 2024年1月22日号より

「今回の地震は海域にかかる部分で起こっていて、地表地震断層という地震によってできる割れ目も見つかっていません。海底の調査が進めば以前から知られている変動地形との関連が明らかになるでしょうが、今の段階では『まだわからない』というのが実情です。それでも、このエリアで最大でM7.6の地震とそれに伴う津波が想定されていたことは事実。『想定外の事態が起こった』というよりは、『想定していた最悪の事態が起こった』と言えるでしょう」

 発生メカニズムもこれからの調査が待たれるが、地震計のデータを解析した筑波大学の八木勇治教授(地震発生物理学)によると、今回の地震では大きく三つの断層がずれ動いたと考えられるという。

「能登半島先端部では去年5月にM6.5の地震が起きていますが、今回はその活動域の隅で比較的弱い地震として断層の破壊が始まりました。そこから少しずつ破壊が広がり、約10秒後に珠洲沖で大きく断層が崩れ始めた。その後輪島市直下の断層が激しく動き、地震発生から約26秒後には能登半島北東沖でも別の断層が壊れたとみられます」

 断層のずれは合計で長さ120キロにものぼる。ただし、三つの断層の破壊が直接的に連動しているかは、厳密にはわからないという。八木教授が続ける。

「珠洲沖から輪島への進行は、揺れのデータを見ても連続していると思います。一方、津波の要因ともなった能登半島北東沖は破壊の伝播が不連続です。何らかの影響があったことは間違いないでしょうが、直接的な連動なのかははっきりしません」

周辺の断層に影響も

 そして今後気になるのは、地震が周辺に連動していく可能性はあるのか、だろう。1月9日には新潟県の佐渡島付近を震源とするM6.0の地震があった。

能登半島地震によって、震源域となった断層の端では新たなひずみが蓄積したと考えられます。今回と同じ領域で同規模の大地震がすぐに起きる可能性は低いですが、周辺の断層に影響を及ぼすことは十分にあり得る。注意が必要です」

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