
なるべく正直な自分で
――Z世代の新入社員にも振り回されるが、10代から活躍してきた山下も今や中堅。永瀬同様、日常の中で世代間ギャップを感じることはあるのだろうか。
山下:もちろんあります。たとえば下の世代の子たちはやっぱり“タイパ”(タイムパフォーマンス)を重視する。それも分かるけど、そこばっかり優先しちゃうと、あったかさとか人間味がなくなってきますよね。人間関係って、非合理的なことと合理的なことのどちらもあって成立する、二つで一つのものだと思いますし。上の世代に対しては、僕らの世代とは知っていることのジャンルが違うということも感じつつ、それを共有させていただきたかったりもしますし、こちらが学ぶ姿勢をもって意見交換していくことが大事じゃないかな、と。
ただ、今はテクノロジーが発達して情報量も多いし、年齢は関係ない時代になってきてますよね。僕も相手がただ年下だからといって「経験が少ない」という気持ちで見ることはないし、逆に、上の世代だからって、全員を尊敬するわけでもない。もちろん礼儀という部分ではきっちりしますけど、正直な意見としてね。自分のフィーリングと、何を目指してるかによって、自分に合う、リスペクトできる相手を探して交流していくことが大切だと思っています。
――ストレートな口ぶりが気持ちいい。山下自身「正直さ」とはどう向き合っているのかを尋ねると苦笑いした。
山下:できる限り正直でいたいという気持ちはありますけどね。とはいえ、こんなコンプラが激しい世界で、誰がどうやって正直に生きられるんだ!というのが正直な気持ちです(笑)。たとえば、人と人の空気感を文字に起こすには限界があるし、それを読む側は想像力で補うことも必要ですよね。でも意地悪な部分だけ切り取る人もいて……もう、ね(笑)。だから、全方向に正直でいるのは難しいです。でも仲間といるときや、自分を応援してくれるファンの皆さんの前にいるときはなるべく正直な自分でいるようにはしています。もうそれでいいかなって。これからもそのスタンスは変えずに、自由にやっていこうと思っています。
(構成/ライター・大道絵里子)
※AERA 2024年1月15日号より抜粋