人気ドラマの続編「正直不動産2」で、嘘のつけない主人公を演じる山下智久さん。現場での人間関係について語った。AERA 2024年1月15日号より。
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――2022年に放送され、好評を博したNHKドラマ「正直不動産」が帰ってきた。山下が演じるのは祠を壊した祟りで嘘がつけなくなった不動産営業マン、永瀬財地。口八丁手八丁の営業スタイルだったが、今では嘘をつこうとすると謎の突風が吹き、身も蓋もない本音が口を突いて出てしまうように。悪戦苦闘しながら正直さだけを武器に己の道を見つけていく山下のコメディー演技、勧善懲悪の爽快感のある物語が多くの視聴者の心を掴んでいる。
山下智久(以下、山下):「シーズン1」では、言いたくない本音を言ってしまう、表情とセリフが一致しないシーンを演じるのがすごく難しくて苦労しましたが、永瀬もある程度、あの風と向き合ってきているので、もう変な諦めがあるんです。本音を言っちゃうことに対して「あぁ……」と身を委ねているというか。だから今回は、あえてあまり違和感のある演技はしていません。そこは「1」と「2」の違いかな。彼なりに祟りを解く方法を模索してはいるんですけど、でもある種、共存しちゃってる。「正直営業」に対するプライドやポジティブな感覚も少しだけ抱き始めているんですが、とは言え、まだ嘘をついてタワマン生活に返り咲きたい気持ちもあって(笑)。その矛盾もまた面白さの一つかな、と。
クレージーで不気味
――新たに加わるメンバーも濃いキャラばかりだ。永瀬のかつての師匠であり、異常なほどナンバーワンにこだわる神木涼真(ディーン・フジオカ)もその一人。ライバル会社の一員となり永瀬たちに牙をむく。
山下:神木は、もともと永瀬が不動産営業のなんたるかを教えてもらった先生でもあって、その師弟対決というか、過去から現在へのストーリー、なぜ病的なまでに1位にこだわるのかという背景のドラマはシリーズを通した見どころですね。
神木はかなり奇妙な役なんです。登場するときはだいたいタップ(ダンス)を踏んでいるという……ちょっとクレージーで不気味なんですよ。ディーンさんご本人もミステリアスな雰囲気がある方だと僕は思っているんですが、そこもリンクしているのか、他では味わったことがない空気感を醸し出されていて。難しい役だと思うけど、世界観の構築の仕方がすごいな、と。
ディーンさんとは初共演ですが、たまたま共通の知り合いがいて、SNSでは繋がっていて。ご飯に行こうと言いつつ、お互いスケジュールが合わなかったのに、まさか先に共演できるなんて、勝手にご縁を感じています(笑)。