予備校には週5日通っていたけど、ほぼ同じペースでサボるという、もうそれはひどいものだった。どうしても受けなきゃいけないテストがあった時や夏期講習みたいなものが始まると、一応数日顔を出したりもしたが、すぐにいかなくなった。記憶があいまいではあるけど、毎日教室に入って真面目に授業を受けたのは、初日から10日間くらいだったと思う。当たり前だけど、テストを受けた際に出る合格判定はつねに「E判定」だった。

 サボってはいたけど、タイムカードはちゃんと押しているから、予備校や両親にはバレていなかった……と思う(笑)。結局、最後まで両親に出席の確認などをされたことはなかったからね。

 じゃあ、予備校をサボりまくっていたボクは、毎日いったい何をしていたのか。

 サボる場所や流れは、いつもだいたい決まっていた。

 まず、予備校を出た後、最初に向かうのは近くの公園。そこでクルミをハトにあげるのがお決まりだった。「予備校をサボっている」という悪の行為に、ちょっとした後ろめたさみたいなものは感じていたから、なんとかその気持ちを相殺したくて、少しでも「善の行為をしよう」とハトにクルミをあげていた。

 それが終わると、次に向かうのはアニメショップ。当時のボクは、大好きなアニメの下敷きを集めるのにハマっていた。しょっちゅう買っていたから、いちばん多い時で、300枚以上は持っていたと思う。下敷きを集めていた理由は、単純に「好きだから」というのもあるけど、「勉強しているフリを装えるから」というのも大きな理由の一つだった。ノートを見ているフリをして、実は下敷きに載っているキャラクターをノートに描いていたり、下敷きのデザインやキャラクターの説明文を読んだりしていたね。自宅で勉強しなきゃいけない時などにも、母親の監視をうまく逃れるためによく活用していた。

 アニメショップの次は、ゲームセンターやパチンコ。ゲームセンターには、ほんとよく足を運んだ。格闘ゲームにハマりまくっていたから、見知らぬ誰かとよく対戦もしていた。当時の格闘ゲームでは、対戦すると全部で3戦できて、先に2勝したほうが勝利だったんだけど、すぐに勝ってしまうと時間をつぶすことができないから、あえて1戦目は相手に勝たせておいて3戦目にまで持ち込むって方法をよくとっていた。正直、学力に反して、ゲームの腕前は、どんどんあがっていった。

 そんなふうに時間をつぶして、夕方になったら両親が待つ家へ帰宅。毎日よく歩いていたし、パチンコやゲームのやり過ぎで、ほどよく疲れていたから、何も知らない両親にはきっと「勉強頑張ったんだな」というように見えていたんだと思う。改めて考えると、なんてひどい息子なんだろうか(笑)。

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