誤情報の拡散も問題だ。

 コメント欄を介して誤情報やデマが拡散されれば、公共の議論において誤った認識が広がり、社会に誤解や混乱を引き起こすことがある。最近では、新型コロナウイルスや各種災害関連の誤った情報がコメント欄に多く書き込まれていた。

 また、アテンション・エコノミーが支配的になっていることは、ニュース配信者がPV数を増やすために、過激な記事やタイトルを掲載する動機付けになっている。アテンション・エコノミーは関心経済ともいい、情報が過剰にあふれるなかで、人々の限られた注意を引きつけることが直接的な収益につながるという経済的概念のことである。

 つまり、コメント欄が盛り上がって多く閲覧されればそれだけ収益につながるため、記事の内容と異なる過激なタイトルをつけたり、過剰に何かを批判したりすることでPV数を稼ごうとするのだ。これは、公平で建設的な議論の場を提供するというニュースメディアの本来の役割と矛盾する可能性がある。

 さらに、過激な記事が増加することはコメント欄の過激化・極端化にもつながり、極端な意見が支持を受けることで、過激な行動や思想が助長される恐れがある。

ニュースサイトにコメント欄は必要か?

 このような問題から、近年ではニュースサイトにコメント欄は不要ではないかという議論が盛んだ。実は海外でも問題視されており、CNNやReutersなどの大手メディアのコメント欄が次々と閉鎖された経緯がある。

 しかし、誰もが自由に情報発信できる人類総メディア時代において、ニュースサイトのコメント欄が議論の場として機能し、多様な視点を提供する役割を担うのは意義の高いことでもあるだろう。

 重要なのは、デメリットを最小限にして、メリットを最大限にできるように、各プラットフォーム事業者が責任をもって言論の場としてのコメント欄について適切な運用をすることだ。

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