肝がんは前述のようにエコーによって早期発見ができます。慢性肝炎の場合、経過観察をする中で、初期の肝がんが見つかることも多いそうです。
「エコーでがんと思われる影やしこりが見つかった場合は、CT検査やMRI検査でがんの状態を詳しく調べます。悪性か良性かの区別が難しい場合には、病変の一部を取って詳しく調べる肝生検がおこなわれることもあります」(長谷川医師)
肝がんの治療はがんの大きさや個数だけでなく、肝臓が炎症によってどのくらい障害されているかで決まります。
「指標として使われているのが『Child-Pugh分類』です。肝機能に関連する検査数値や腹水の程度などを当てはめ、点数化して肝機能の障害度を評価します。障害度が軽く、初期のがんであれば、手術やアブレーション治療など外科的な治療が可能です」(同)
外科的治療が難しい場合には、肝動脈塞栓術や放射線治療があります。
「近年はとくに免疫チェックポイント阻害薬を含む薬物治療が大きく進歩し、進行した肝がんに対しても効果が期待できるようになっています。肝がんは再発をしてもさまざまな治療の手段がありますので、決してあきらめないでください」(黒田医師)
(取材・文/狩生聖子)