「血尿を軽く考えている人は、とても多いのです。忙しくて疲れたからとか、ストレスがかかったから血尿が出たと言う人がいますが、血尿は腎がんだけでなく何らかの病気のサインであることがほとんどです。特に肉眼でわかるような血尿が出た場合には、すぐに病院を受診することをお勧めします。血尿を甘く見てはいけません」(中井医師)

 病院に行くときは、まず近くのクリニックや診療所を受診するか、健診や人間ドックを受けた医療機関などで、がん専門病院泌尿器科宛ての紹介状をもらい、それを持って受診します。

検査方法はCTやMRIなどの画像診断

 腎がんかどうかの診断は、CTやMRIなどの画像検査をおこなって判断します。画像検査で診断がつかない場合には、直接腎臓に針を刺して組織を取り、がんであるかどうかや悪性度などを詳しく調べる腎生検をおこなうこともあります。

 例外はありますが、腎がんの進行はそれほど速くはなく、比較的ゆっくりと進みます。ただ自覚症状がないため、腎臓の周りの臓器やリンパ節にがんが広がったり肺など他の臓器に転移したりするなど、進んでから見つかることもあります。

治療は手術、部分切除か全摘か

 がんなどの病気に対し、有効性と安全性が確認された最も信頼できる治療のことを標準治療といいます。腎がんの標準治療は手術です。早期に見つかった4㎝以下の小さいがんでは、がんの部分をくりぬいて切り取る腎部分切除術(部分切除)がおこなわれます。また、大きくなったがんや、がんが進行して周囲に広がっていたり(浸潤)転移があったりするなど部分切除が適さない場合には、がんのあるほうの腎臓すべてを摘出する腎摘除術(全摘)をおこないます。

 部分切除は、現在ではロボット手術が主流となっています。おなかに小さな穴を数カ所開け、そこから腹腔鏡などの器具を差し込んでロボットで操作しながら切除する方法です。

 全摘には開腹手術と腹腔鏡手術の2種類があり、腹腔鏡手術には腹腔鏡を医師が使っておこなう腹腔鏡手術と、医師がロボットを操作しておこなうロボット手術があります。

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難しい症例では、開腹手術が選択されることも多い