古賀 やってはいけないこと、とする教義自体に無理がありますよね。そもそも、思春期に恋人ができて2人でステップを踏んで初めての体験を重ねていくことは、とても幸せなことだし、いい思い出じゃないですか。自慰にしても一人で自由に楽しむ時間なのに、神の名をうたって介入してくる。罪だと教え込んで、告白をうながす。これって一種の性的虐待だと思います。

性的欲求が消化できず押さえつけられたまま


岡部 制限だらけで、思春期を楽しめなかったという後悔があります。性的欲求も当たり前だし、発散することも当たり前。なのに、経験した人は悪者にされ、忌避される。そもそも、そうした行為に他人が介入するなんて言語道断なのにです。エホバのルールって、守っても、守らなくてもいいことがない。信者の若者には、性的欲求はごく自然な欲求であることを知ってほしいです。制限されて傷つけられている若者たちが救われてほしい。
 
――教団内での性被害の実態も公表されました
 
古賀 こうした抑圧が直接、性加害に結びついたという証明は難しいと思います。ただ、ごく自然な性的欲求が消化できず押さえつけられたままだと、その矛先はどこに向かうのか。衝動的に性欲が湧くこともあって、本来は自分で発散すべきなのにそれができない。海外でも信者の子どもが性被害に遭ってしまい、多くの訴訟が起きていることや、エホバ側が教団としての責任を問われた判例が多くあることにも目を向けなくてはなりません。

(聞き手/AERA dot.編集部・國府田英之)

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ