エホバの証人の日本支部=神奈川県海老名市

 宗教団体「エホバの証人」の元2世信者らでつくる団体がこのほど公表した元信者らへのアンケート結果では、子どもたちは幼少期から「マスターベーション禁止」などのルールを学ばされたり、禁止されている性的行為の用語を声に出して読むことを強制されたりしていたことが明らかになった。自由な恋愛もできず婚前交渉も禁止。当事者たちは、そうした性的な抑圧をどう感じていたのか。健康上の問題、日常生活でのトラブルなどは起きなかったのか。元2世の男性3人に聞いた。

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 取材に応じてくれたのは首都圏在住の古賀武さん(40代)、沢木真司さん(30代)、九州地方在住の岡部雅人さん(30代)=いずれも仮名。
 
――幼稚園くらいの年齢で、「マスターベーション禁止」だと学ばされた?
 
古賀 多くの2世がそうでしょうね。幼い時にマスターベーションなんて言われても、まったく分かりませんよ。分かるはずがない。そもそも思春期や、大人の男性同士の会話にもマスターベーションという言葉って出てきませんよね。自慰行為については別の言葉を使うと思う。

部屋のゴミ箱を厳しくチェックされて

沢木 小学校の高学年くらいでやっと意味が分かったのかなあ。僕はエホバの証人以外の生徒とも仲良くしたかったので、エホバの証人の家だということを学校では隠していて。友達との会話の中で知ったと記憶しています。
 
――確かに、私も大人に学ばされたことは一切なく、友人たちとの会話に自然に出て来て学びましたね
 
古賀 エホバの証人の子どもは、同じ宗教以外の子どもと仲良くしてはだめなので、他者との関わりを通して身につけていくコミュニケーション能力が育たないことが多くあります。思春期に自然に経験するはずの、性の知識を得る機会が本当にないまま、大人になる人もいると思います。
 
――皆さんも、ルール通りにマスターベーションをしなかったのですか
 
古賀 いえ、しました。中学に入ってからだったかな、興味があって初めて自慰をして、父親にバレました。部屋のゴミ箱を厳しくチェックされていて。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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エホバの信者は選民意識が非常に強い