――エホバの証人以外の家庭でも、チェックしている親はいるかもしれません
沢木 うちも母親がチェックしていましたが、見つかったら即説教されるという雰囲気で、とても厳しいものでしたよ。一般家庭なら、まず怒られはしませんよね。悪いことではないですから。
岡部 僕もしてました。ある時、エロ本が父親に見つかって。ただ、父は信者ではなかったので黙っててくれて、「お母さんに見つかったら大変なことになるぞ!」と強く諭されました。
――思春期の男子同士でよくあるように、信者の友達同士で行為についての会話はしたのですか
沢木 一切しませんでした。誰に告げ口されるか分かりませんからね。
ポルノは見ていたが、教団内ではダメだと教えて
――とすると、罪悪感や背徳感があった?
岡部 良心の呵責(かしゃく)にさいなまれましたよ。でも、がまんするなんて無理じゃないですか。僕はポルノも見ていたのですが、教団内での立場としてそれをダメだと教える側にいたこともありました。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような、心臓が毎日バクバクした状態で生きていて、とてもきつかったですね。
沢木 今でこそ普通に話せますが、当時は本当につらかったです。いけないことだと教えられていますし、教えを信じていましたから。それでもしてしまって落ち込んで、の繰り返しでした。
――思春期の男の子として、不健全に思えるのですが
古賀 ルールを守っていたら、精神がおかしくなりますよ。今でこそ、そんなルールについて、バカらしいし、ふざけんなよって思いますが、当時は選民意識や、特別な教団なんだって思いもあって。
――エホバは自由恋愛や婚前交渉も禁止していますが、抑圧がなぜ選民意識に結びつくのですか
沢木 私たちは正しいことをしている、それが故の息苦しさなんだと。自我を保てないほどの息苦しさは、世間と違う特別なことをしているからなんだと。エホバの信者は選民意識が非常に強いんです(古賀、岡部もうなずく)。
――抑圧の中で、男性信者たちの精神面や人格形成に影響は?