※写真はイメージです。本文とは関係ありません(Dragon Claws / iStock / Getty Images Plus)
この記事の写真をすべて見る

 合わない職場で心身の調子を崩してから徹底的に生活を見直し、月の生活費7万円の低コストライフを実現した人気YouTuberのかぜのたみさん。著書『低コスト生活』から、人生100年時代にお金の不安に縛られず過ごすための「貯金術」を、一部抜粋・再編集して紹介します。

*  *  *

先取り貯金の落とし穴

 節約や貯金の話で必ずおすすめされているのが収入から先に貯金分を引いておくという「先取り貯金」ですが、私には合いませんでした。

 毎月一定額を貯める余力があるなら、先取り貯金はかえって遠回りに思えたのです。まずは私が色々な貯蓄法を試す中で、先取り貯金について気になった点を挙げてみます。

 一つ目は、収入によって生活水準が上下する、という点です。

 先取り貯金をしていた頃は、転職などをして収入が上がったとき、一緒に生活水準も変化していました。貯金額を固定(先取り)すると、収入の変動に応じて生活費に回せる金額が変わってしまうのです。

 できることが増えた! 買えるものが増えた! というポジティブな面がある一方、なんらかの事情でまた収入が下がったら、できることが減ってしまいます。

 ずっと収入を右肩上がりにできればいいですが、会社員だと難易度が高すぎます。収入の増減に一喜一憂して、疲れてしまうのです。

 二つ目は、余裕ができてもその分使いがち、という点です。

 残業代が多い月など、いつもより臨時で収入が増えた際、突如発生した金額を扱うのが面倒でした。

 いつもより多めの分は丸ごと貯金! というルールを自分で決めていればいいですが、そうはいかないのが世の常……。会社に勤めていたときの私は、「頑張ったご褒美」に毎月の余剰金を普通に使っていました。

 残業代が多くてもその分、出勤前に気合を入れるためのモーニング代、息抜きのためのお菓子やお酒代、残業が続いて気力が尽き果てた際の外食代などにお金が消え、“生活するための本来の生活費”の見直しをしたいのに“日々のストレスの対処”に振り回されて、上手く支出を見直せていませんでした。

次のページ
本当に先取りすべきは「生活費」だった