しかし前述したように、構造的な要因によって円高は進みにくい状況にあります。このためドル・円相場が、このちょうどいい水準を目指すとしたら、物価の値上がりを待つことになります。でもそれは結局、生活者にしわ寄せがいくことを意味します。

一定の経済合理性

――今後は海外資産を増やす重要性が増す。

 日本人は保有資産に占める円資産の割合が高い。それは国民性や性格によるものだと説明されることが多かったのですが、実は一定の経済合理性もあったのです。

 しかし、足元のように実質金利がマイナスの状態が続くと円資産はどんどん目減りします。そうした行動は合理的ではなくなっていきます。日本人が合理的な行動を求めるのだとしたら、海外資産への投資はこれからもっと増えると思います。

――23年12月に、それまで勤めていた外資系金融機関から現在の職場に移りました。

 もっと対外的に情報発信ができないかと考えていたところでご縁があり、移ることに決めました。当社には運用部門があって証券会社などから株式や債券などを買う「バイサイド」と、個人客や法人客に対して金融商品を売る「セルサイド」の両面があり、市場や投資に関する情報やノウハウがたくさん集まってきます。モバイル専業銀行「みんなの銀行」も運営しており、地銀グループながら、実は全国区の顧客基盤もあります。

 円は弱くなり、これから経済も厳しい状況になっていく危機感があります。もともと関東地方の出身なので九州にゆかりがあったわけではありませんが、日本の歴史をみると大きな改革は西から始まるイメージも持っていました。

 動画サイト「YouTube」の当社の公式チャンネルも利用しながら、お役に立つ情報を今まで以上に発信していけたらと考えています。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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