そう話すのは、東京都ペストコントロール協会の小松謙之(のりゆき)さんだ。同協会には、09年は38件だった電話相談が23年には325件に増加(12月11日時点)。過去14年で最も多かった。
個人間売買に「リスク」
物を介して広がるため、海外からの荷物を不安視する人もいる。佐川急便には今年6月以降、いくつか問い合わせがあった。
「現時点でトコジラミやその他の寄生虫が付着していたという報告はありません。今後もお客さまからのご要望に合わせ対応を検討いたします」(同社広報)
実際に、トコジラミが荷物とともに運び込まれることはあるのか。前出の小松さんが言う。
「メーカーの倉庫にトコジラミがいる可能性は低いので、あまり心配する必要はないでしょう。ただし、メルカリやヤフオクなど個人間で売買する場合は、送り主の家にいたトコジラミが潜んでいる可能性はあります」
年末年始には海外旅行を予定している人も多いだろう。スーツケースやバッグの中に潜り込み、持ち帰ってしまう──考えたくもないがそんなことはありえるのか。害虫駆除の専門業者「大洋防疫研究所」代表取締役の向井秀彦さんはこう指摘する。
「どれだけ気をつけてもホテルや電車から連れ帰ってしまうケースもあり、対策はかなり難しい。気になるときは荷物を玄関や風呂場に置いて、部屋にいないか目視で確認してください。布団のチャック部分、カーテンの折り目、ベッドフレームなどを見るのもポイントです」
大量発生すれば個人で駆除するのは難しいため、専門家に相談するのがトコジラミ問題解決への近道だ。(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年1月1-8日合併号