【野球】『台湾野球の文化史』/アンドルー・D・モリス/論創社/2022年

WBCの常連であり、王貞治らゆかりある著名選手が輩出する台湾。その来し方を多角的な視点から明らかにする一冊。日本の植民地政策から始まった野球が「国技」となる過程には、一筋縄ではいかない台湾近現代史が垣間見える。

【酷暑】『大洪水の前に』/斎藤幸平/角川ソフィア文庫/2022年

私たちが今の暮らしを続ければ、気候変動はどんどん進み、多くの命が危機にさらされ続けてしまう。環境を破壊する資本主義の矛盾を、マルクスのノートを手掛かりに読み解く。未来を築く一歩となる画期的名著です。

将棋】『僕らの哲学的対話 棋士と哲学者』/戸谷洋志・糸谷哲郎/イースト・プレス/2018年

大学院でともにハイデガーを学んだお二人による対談。AIを現場の棋士はどうとらえているのか? 勝負とは何か? そして何より、「勝てないとき」の心の持ち方。自分と異なる他者との関わり方について教えてくれます。

【芸能】『心的外傷と回復 増補新版』/ジュディス・L・ハーマン/みすず書房/2023年

30年にわたり読み継がれる、トラウマに関する基本書でありバイブル。性加害など、芸能界の問題を考えるうえで、重要な一冊になるはず。2023年新春の「100分deフェミニズム論」で、上間陽子さんが取り上げたことでも話題に。

サイエンス・テクノロジー

変化球曲げるマグナス力 将棋が解かれる日来るか

「Newton」編集部長・板倉龍さん/1973年生まれ。2022年から「Newton」編集部長

【戦争】『ロバート・オッペンハイマー』/藤永茂/ちくま学芸文庫/2021年

量子力学やブラックホールについて優れた研究をしていた若きオッペンハイマーがいかにしてマンハッタン計画を主導するようになったのかが克明に描かれる。科学も戦争もどちらも等しく人間の営みであることを深く思い知らされる。

【野球】『筋肉とスポーツの科学』/Newton別冊/ニュートンプレス/2023年

野球の変化球やフィギュアスケートのジャンプなどを科学的に解説。変化球を曲げる物理的な力、「マグナス力」は19世紀に発見されたが、既にニュートンは17世紀にテニスボールが回転の力で曲がることを見抜いていたそうだ。

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