震災で重要性見直され
タンクに何が積まれているのか想像するのも楽しいと笑う。
「冬の時期は、北海道から玉ねぎやジャガイモを貨物列車で運んでくることが多くあります。その際、保温性が高く、野菜の凍結を防ぐことができる日本石油輸送の白いコンテナが多く使われます。白いタンクをいっぱい積んだ貨物列車を見ると、北海道から来たのかな、って思いを馳せたりします」(同)
鉄道貨物の利点は、全国に張り巡らされた線路網を生かし、大容量の物資を一度に運べることだ。そんな貨物輸送の重要性が改めて見直されたのが、2011年3月に起きた東日本大震災だった。
あの日、地震と津波によって東北の鉄路はズタズタに。物流網は寸断され、東北への物流が途絶えた。中でも東北唯一の製油所、仙台製油所が地震と津波の被害を受け、ガソリンや寒さを乗り切るための灯油不足は深刻となった。国や被災自治体からの「SOS」を受けたJR貨物は「かつてない輸送作戦」(関係者)を展開した。
通常、首都圏から東北に向かうには東北線を北上する。だが、当時は地震により、宇都宮貨物ターミナル駅(栃木県上三川町)以北が寸断されていた。そこで、迂回ルートで輸送するという究極の計画を立てた。