アーセナルでの挑戦に終止符を打った大ケガ
岡田監督の言葉通り、この頃の僕はサッカーをまったく楽しめていなかった。楽しむ余裕がなかった。でも、プレーし続けるしかなかった。
サッカーしかなかった。サッカー以外の世界は知らないといってもよかった。サッカーから離れたらどうなるのか、まったくわからなかった。そんな不安から逃れるためにも、先が見えなくても、真っ暗でも、歩みを止めるわけにはいかなかった。
アーセナルで結果を出すしかない。ただただ、そう思っていた。
ところが、またしても、もがき苦しむ僕は、追い打ちをかけるような出来事に襲われた。年が明けた2014年3月、リザーブリーグの試合中だった。
左のウイングとして先発した僕は、その時、目の前にできた広いフリースペースに出たボールを追って、全力でスプリントしていた。
「バーン!!!」
大きな音とともに、そのまま前にバランスを崩して転んでしまった、起き上がれなかった。本当に自分の中で「バーン!!!」という音がしたのだ。
一瞬、「銃で撃たれたのか?」と思った。実際に撃たれたことはないが、撃たれたような衝撃とともにまたシーズン終了となる大ケガをした。
左太もも裏(ハムストリング)の肉離れ、筋断裂だった。筋肉が裂けていた。肉離れとしては最もひどい部類に入る。プツンと切れたわけではなく、かろうじて、ぎりぎり、ほんの少しだけがつながっていたが、大ケガだった。
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本書『それでも前を向く』(宮市亮著/朝日新聞出版)では、そんなどん底を味わった宮市選手が、再起するまでを追っている。