実験的なアニメ作品も登場している。04年から放送されている「プリキュア」シリーズは、23年10月からNHK Eテレで「キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~」の放送を開始。約10年後のプリキュアを描いた。また、99年から03年まで放送された「おジャ魔女どれみ」も、20年に劇場版「魔女見習いをさがして」を公開。こちらも、当時小学3年生だった主人公の20年後が描かれている。
さらに、18年には巨大ロボットアニメとして一斉を風靡した「マジンガーZ」の劇場版の新作が公開されるなど、往年の名作をアレンジする流れも出始めている。だが、キャラクターマーケティングが専門の野澤智行さんはこう指摘する。
「昔はやったものをアレンジしたり、再上映したとしても、必ずしもヒットするわけではありません。18年の『マジンガーZ INFINITY』や12年以降の『宇宙戦艦ヤマト2199』もオリジナルほどの大きなヒットにはなっていないのが現状です」
今年、野澤さんが3歳から74歳までの男女を対象に実施したキャラクター定量調査では、35歳から49歳の男性の好きなキャラクターの上位に「ドラゴンボール」「北斗の拳」などが並んだ。一方で、女性はどの年代も「ムーミン」などファンシー系のキャラクターが多く、年代による大きな差は見られなかった。
「40代から50代の男性は10代から20代前半にはやったものをずっと好きで居続ける傾向にあることがわかります。私もそうですが、思い出やノスタルジーに支配されがちなんです」
一方で、アニメの放送終了から26年が経過してもなお、大ヒットをとばした作品も。映画「THE FIRST SLAM DUNK」(22年)は、国内興行収入155億円を突破。公開日直前のキャスト発表、公開後もあらすじは未発表のままにする異例の宣伝手法も話題になった。
同作を「最後の一秒まで手に汗握って鑑賞した」というアニメコラムニストの小新井涼さんは、ヒットの背景にアニメ制作の技術向上もあると分析する。
「誰もが知るバスケ漫画の金字塔で物語の面白さはいわずもがなです。加えてカメラワークやCG技術もずば抜けていました」
その結果、試合さながらの臨場感ある作品が生まれたという。