カギは行間と奥行き
ジャズプレーヤーを目指す青年の姿を描いた映画「BLUE GIANT」(23年)もピアニストの上原ひろみが音楽を手がけ、立体感ある音像が話題になった。
「この20年ほどでアニメの社会的位置づけは変化し、異業種コラボの増加と同様に、アニメ畑でない人たちが制作に参加する機会も増えてきました。その分、表現できることの幅も広がっています」(小新井さん)
話題作に共通するのは「誰かに話したくなるかどうか」だと小新井さん。今視聴できるアニメのなかから、大人が語りたくなる10作品を選んでもらった。
水木しげる生誕100周年を記念して制作された劇場アニメ「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(公開中)は、当初これほど大きな反響が生まれるとは予想されていなかった。だが、公開3日間の興行収入は1億6千万円、2週目1億6900万円、そして3週目は1億8900万円と3週連続で右肩上がりを続けている。じわじわと動員を伸ばしているのは、SNSでの口コミの効果も大きいという。
「どの作品も刺さるポイントはバラバラです。でも、誰かに感想や考察を共有したいと思えるという点が共通している。行間があって、その奥行きを想像できるというのもヒットの条件ではないでしょうか」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年12月25日号より抜粋