安倍派の解体、岸田政権の崩壊にとどまらない。自民党政治が存亡の危機にある。
この10年、安倍晋三氏が中心に進めた政治は、民主党政権を厳しく非難し、アベノミクスによる金融緩和で大企業の業績を回復させた。大企業が多額のパーティー券を購入してきたのは、その「返礼」とも見える。また、安倍氏は集団的自衛権の容認を柱とする安全保障法制を、野党や憲法学者が反対する中で、強引に成立させた。それらの実行部隊となったのが最大派閥の安倍派だった。
その安倍派勢力の拡大と維持に、派閥パーティーの裏金が使われていたことは明らかだ。そうした体質をどう改めるのか。岸田首相は13日の記者会見で「自民党の体質を一新すべく、先頭に立って戦っていく」と述べた。岸田首相が決意を貫き、自民党の改革が進むのか、それとも言葉だけに終わって、改革が実現せず、自民党政治が終焉の道を歩むのか。結論が出る時期は遠くない。(政治ジャーナリスト・星浩)
※AERA 2023年12月25日号より抜粋