派閥の巨額の裏金作りが明らかになり、岸田文雄政権は崩壊寸前に追い詰められている。裏金問題で、自民党政治が終焉を迎えようとしている。AERA 2023年12月25日号より。
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岸田文雄首相は14日、安倍派出身の閣僚4人、松野博一官房長官、西村康稔経産相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相を更迭、それぞれの後任に林芳正、斎藤健、松本剛明、坂本哲志各氏を任命した。安倍派の副大臣5人と政務官1人も交代。萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長も年内には更迭される。安倍派内には「人身御供だ」という不満が募っているが、当面は岸田首相の判断に従わざるを得ない状況だ。派閥の会長も決まらないまま、幹部間の綱引きが続いていたが、裏金問題の急展開で、今後は分裂・解体に向かう可能性が大きくなった。
首相退陣「あり得る」
「安倍派切り」で難局をしのごうという岸田首相だが、これまで安倍派に依存していた姿勢を一転したことには、安倍派以外からも批判が出ている。12月14日に発表された時事通信の世論調査(8~11日実施)によると、岸田内閣の支持率は前月から4.2ポイント低下して17.1%。ついに、2割を割り込んだ。この状態で自民党内の不協和音を抱えたまま、年明けの通常国会を乗り切れるとは思えない。「ポスト岸田」をうかがう石破茂元幹事長は、来春に24年度予算を成立させた直後の首相退陣も「あり得る」と語っている。