裏金問題で揺れる自民党本部=東京・永田町

 東京地検特捜部は臨時国会が12月13日に閉幕したのを受けて、本格的な捜査に乗り出した。振り返ると、検察庁にとって第2次安倍政権(2012~20年)とそれに続く菅義偉政権(20~21年)は「雌伏の時」だった。安倍政権で官房長官を続けた菅氏は、当時の法務省事務次官や東京高検検事長を務めた黒川弘務氏と気脈を通じ、出入国管理問題などで助言を受けていた。安倍政権下では、黒川東京高検検事長を検事総長にするためといわれる検察官の定年延長の法改正案を国会に提出した。

 検事総長OBらが反対を表明したうえ、黒川氏がマスコミ関係者と賭けマージャンをしていたことが発覚、この改正案は廃案となった。それでも、安倍・菅政権下で、検察は政界の本丸に切り込む捜査はできなかった。「安倍一強」体制は検察にとって厚い壁だったのである。

検察の威信

 黒川氏に代わって東京高検検事長から検事総長に就いた林真琴氏の下で、検察は政界捜査の機会をうかがっていた。そこに飛び込んできたのが、このパーティー裏金疑惑である。検察の威信をかけた捜査が繰り広げられる。家宅捜索では、安倍派の事務所から関係書類が大量に押収されるだろう。事務担当者、議員秘書が次々と事情聴取され、所属の衆参両院議員への取り調べも予定されている。(政治ジャーナリスト・星浩)

AERA 2023年12月25日号より抜粋