辞表提出後、記者会見に臨む松野博一官房長官=2023年12月14日午前

 安倍氏は2012年に政権に復帰。前の民主党政権を徹底的に批判し、金融緩和を柱とするアベノミクスを展開。7年8カ月の長期政権が続いた。安倍政治を推進する中核である安倍派は、着々と勢力を拡大。100人に達した(現在は99人)。派閥幹部はパーティー券を大量に売りさばき、一部は派閥に納め、残りは個人のポケットに入れた。その資金は新顔候補の発掘や中堅・若手議員の選挙運動のテコ入れに使われた。最大派閥が巨額の資金を集め、それを選挙などに支出することでさらに最大派閥が維持されるという構図だ。

安倍派「5人衆」も

 ある自動車メーカーの関係者は、安倍派のカネ集めについて、こう証言する。「政権派閥であることを笠に着て、パーティー券を大量に買うよう迫ってきた。執拗だった。同業他社も購入しているので、後れを取りたくないという気持ちもあった」

辞表提出後、取材に応じる西村康稔経済産業相=2023年12月14日午前、首相官邸

 その裏金システムが明るみに出た。まず、火だるまになったのが松野博一前官房長官だ。2019年から2年間、安倍派の事務総長を務めていたが、その時期を含めて1千万円を超えるキックバックを受けていた疑いが浮上。それでも松野氏は記者会見や国会答弁で「説明は差し控える」と繰り返し、与野党から批判を浴びた。

 同じ事務総長経験者の西村康稔経済産業相、現職の事務総長の高木毅国会対策委員長、さらに萩生田光一政調会長、世耕弘成参院自民党幹事長の「5人衆」全員と座長の塩谷立元文部科学相が裏金を受け取っていたという。安倍派の大野泰正、橋本聖子両参院議員、池田佳隆、谷川弥一両衆院議員にも多額の裏金が判明。安倍派事務局にパーティー券の購入代金をいったん納めて、その後にキックバックを受けて、自由に使ったとみられる。政治資金規正法に違反するだけでなく、所得税法違反(脱税)の疑いが出ている。

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