小池容疑者は1999年に懲役9カ月追徴金約7億円の実刑判決を受け服役。その後は妻の実家がある鹿児島県姶良市で暮らしていた。
筆者は10年以上前だが、小池容疑者を訪ねたことがある。
そのときの小池容疑者は、
「もうマスコミに話すことはないよ。田舎にいるので誰も私のことなんて知らないと思っていたら、まったく違うんだよ。子どももいるし、周囲からもありもしないことを言われるんだ。(総会屋という)仕事はいろいろなことがあったよ。政治家とも幅広く付き合った。みんなカネ目当てだよ。けど、今さらそんな話をしてもしょうがないだろう。今は、こうやって芝刈りでもしているのがいいんだ。遠くから来たんだろう。大変だね」
というだけだった。
表舞台からは消えたと思っていた小池容疑者が、なぜ再び逮捕ということになったのか。それも沖縄を舞台に……。
事件は那覇市の一等地が舞台に
那覇市北部の高台に位置し、市内でも最も地価が高い地域のひとつ、新都心。アメリカの占領下では軍の住宅が建っていたが、全面返還された後は沖縄では最も人気がある商業地のひとつに生まれ変わった。
中心の「おもろまち」には、日本銀行沖縄支店や県立博物館・美術館といった公的施設がある一方、高級ブランド店が軒を連ね、観光客も多い。広い県道の反対側には上下水道局の庁舎があり、その一角にある広大なコインパーキングが、所有権を争っている問題の場所だ。
話は今から20年ほど前にさかのぼる。
那覇市に帰属している1万7千平方メートルの土地の所有権をめぐる裁判があった。
古い時代から地元を知る高齢の男性に話を聞くと、
「地元に長年続く一族がいて、その墓なのかな。それが村山容疑者の関係先で、そこから書類が出てきた。コインパーキングの土地は自分の先祖一族が所有し、那覇市の土地ではないという内容だった。そこで、地元の不動産業者が新都心の一等地だと聞いて一族から委任状を取り、民事提訴したんです。しかし、裁判では那覇市の所有とされて退けられました。それで一件落着かと思いきや、また地元の不動産業者が委任状を取り付けて、久高容疑者に持ち込んだことが今回の事件の発端です」
という。