四大証券は株主総会での小池容疑者の追及をおそれ、株や先物取引で総額7億円あまりの利益供与をした。問題が表面化すると、第一勧銀、野村証券などの幹部は国会で参考人招致された。四大証券が小池容疑者に対して損をさせないために作った「一任勘定」「VIP口座」は何度も国会で追及され、流行語にもなった。
こうした小池容疑者への利益供与に対し、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出し、小池容疑者のほか、証券や銀行の会長、社長ら幹部が商法、銀行法、証券取引法違反などの各容疑で次々と逮捕され、大手証券4社と銀行6行で計40人以上が起訴される大事件となった。この捜査の過程で、第一勧銀の元会長が自殺した。
それは官僚や政治家にまで飛び火した。大蔵省(現・財務省)と日銀に対する金融機関からの過剰接待問題が明らかとなり、同省が職員100人超、日銀も約100人をそれぞれ処分。現職の国会議員の新井将敬氏が証券取引法違反(利益供与)容疑で逮捕許諾請求され、自殺した。
昭和から平成時代にかけてのバブル時代を象徴する経済事件だった。
「ずっと見てなかった小池氏が今、またもや」
Xさんの話に戻る――。
小池氏の思い出について、Xさんはこう語った。
「私は以前、株主総会で小池容疑者と接触したことがありました。受付で上司が『小池が来る』と言うので、一緒に待っていました。スーツ姿でやってきた小池容疑者は『どうも』とあいさつし、優しそうな印象でした。たしか私は名刺を渡してあいさつをしました。その穏やかな雰囲気が株主総会になると一変し、徹底的に追及をはじめる。人が変わったかのように『どうなんだ! 答えろ!』と叫び、強烈でした」
こんなこともあったという。
「私の上司が『小池さんから電話があった』と右往左往していたことがありました。商法改正前、小池容疑者が絶頂の時期だったのでしょう。事件になって真相がやっとわかった。その後、ずっとメディアで見なかった小池氏が、今、『またもや』と。沖縄のニュースを見て、歴史は繰り返すのか、という感じがしています」