久高容疑者は当選10回を数え、今年春まで3年半も議長を務めた沖縄政界の「重鎮」だ。問題の土地は、裁判で那覇市への帰属が認められていたのにもかかわらず、久高容疑者は5年ほど前から市議会で、「不当だ」「弱い者を潰していく」などと主張し、議長でありながら「所有権を訴える人に土地を戻すように」などと訴え続けた。賄賂に対する便宜供与だ。
前出の高齢の男性がこう話す。
開発できれば200億円はくだらない
「不動産業者は何度も久高容疑者に金銭をせびられたようだが、カネが尽きて最後に打診したのが小池容疑者だった。しかし小池容疑者もカネを用意できず、小原容疑者に依頼して5千万円を用立てたようだ」
問題の土地は、新都心最大のメインストリートに面した平地で、すぐにでも商業施設やマンションを誘致できる「新都心最後の目玉」とも呼ばれ、「もし個人や企業の所有で開発できるとなれば200億円はくだらない」とまで言われていた。
捜査関係者によれば、
「小池容疑者には200億円の10%、20億円をバックする約束で5千万円を出させた」
とのこと。日本を揺るがしたかつての利益供与事件とは規模が違い過ぎるが、総会屋とは別の顔の小池容疑者が、あれから20数年経ってなお、政治家を巻き込んだ贈収賄事件に絡んでいた。事件はさらに広がる様相を見せている。
(AERA dot.編集部・今西憲之)